エピソード9   統一/結束

「私たち」が「私」よりも強くなるとき

結束は、人を支え、力を与えます。
同時に、判断を狭めてしまうこともあります。

リフレクション

人は、必ずしも議論によって動かされるわけではありません。
多くの場合、人を動かすのは「そこに属している」という感覚です。

家族、宗教、国家、職場、オンラインのコミュニティ。
共通の言葉や価値、習慣を共有するうちに、
意見は「考え」ではなく「私たちの立場」として感じられるようになります。
そのとき、賛同は理解というより、帰属のしるしになります。

結束には、確かな力があります。
困難なときに人を支え、互いに助け合い、
一人ではできない行動を可能にします。
多くの人の人生は、何らかの「私たち」によって支えられています。

しかし、結束には別の側面もあります。
同じ結びつきが、異議を「裏切り」のように感じさせることがあります。
問いはいつのまにか、
「それは正しいか」から
「それは私たちのものか」へと移っていきます。

デジタル環境では、この変化が速く起こります。
合言葉、象徴、共通の敵、内輪の冗談。
短い時間で「仲間意識」が形づくられ、
考える前に立場が決まってしまうこともあります。
そこには安心感がありますが、
同時に、外の声が聞こえにくくなる危うさもあります。

結束は、それ自体が善でも悪でもありません。
問題は、その結束が何を支え、何を求めてくるのかです。
結びつきが判断を支えるときもあれば、
判断の代わりになってしまうときもあります。

私たちは、どのような「私たち」の中に身を置いているのでしょうか。
そして、その結束は、私たちの世界を広げているでしょうか。
それとも、静かに狭めているでしょうか。

結束は、居場所にもなり、境界にもなります。
大切なのは、その結びつきが、
私たちの判断を支えているのか、
それともとって代わってしまっているのかを、問い続けることかもしれません。

エピソード8希少性 / 全エピソード / エピソード10誤信 (近日公開) 

考えるための問い

  • あなたが「私たちの一員だ」と感じている場面を思い浮かべてみてください。その結束は、あなたに何を与えているでしょうか。

  • 意見の違いを口にしにくいと感じた経験はありませんか。そのとき、失いそうだと感じていたのは何でしたか。

  • 結束が支えになっていると感じるときと、同調を求められていると感じるとき。その違いは、どこに表れているでしょうか。